「ナボコフ自伝」

大江健三郎「「自分の木」の下で」の中で、<どうしてこんなに豊かで幸福な少年がいたのだろう>なる記載と共に紹介されていたので、その<豊か>と<幸福>を味わうべく手に取ってみました。
サンクトペテルブルクの名門貴族として生を受ける、か。いいっすねー、アッパークラスの色彩豊かな生活を覗き見るというのは。という下世話な興味も十分に満たしてくれます。<家には五つの浴室と、無数の古びた洗面所があった>とかね。生まれ変わるのならここらへんが適切かな? 革命は大変そうですが。
個人的に気に入った短いフレーズを抜粋。

円は精神化するとらせんになる。円がほどけて、らせん形になると、悪循環から解放されるのだ。つまり、自由になるのだ。

世界のあくせく働く人間たちよ、仕事などほうり出したまえ。古い書物は間違っている。世界は日曜日に作られたのだ。