「橋本治が大辞林を使う」

 橋本治大辞林を(というか辞書全体を)どのように使っているのか確かめたくて繙いてみました。2001年刊の本。比較されるは、日本語の「権威」となっている広辞苑で、「あーもう何でこっちばっかが正しいってことになってんだよー」と苛立っている橋本治の様子が手に取るようにわかります。うん、まあ、その苛立ち方と共に、「クローズアップっておかしいだろ?(クロースアップだろ?)」みたいな、細部にわたる言葉(音)への執着は、けっこうすごいなー、というか、「綴じ紐が切れるまで」辞書なんて使ったことがない人間としては、そうした机に向かえる根性ってものそのものじたいが、なんだか不思議な感興を催させていました。ふつうなんですか、そうした根性って。イージーゴーイングとは対極の。ふーむ……。