「僕の大事なコレクション」

 白状すると、イライジャ・ウッドの眼鏡顔を鑑賞しに行ったようなものです、当初は。だが、意外に、作品じたいがおもしろかった――というか、実にこちらの好みを突くつくりとなっていました。集客力の具合も含めて。ふふー。まあ、集客力については、邦題によるバイアスがかかっていたことは否めなかろうと思います。実際、ちょっと、恥ずかしかったです。この題名を窓口で口にするのは。原題の「Everything Is Illuminated」では、それこそ舌がもつれて言えなかったかもしれないけど。
 最後の最後に起こる出来事、よりも、個人的には、その渦中に放たれた言葉に「へええ」と感心させられました。老女が涙目でイライジャ・ウッドに放つ言葉。発想の逆転を、鮮やかに言い表した言葉。つまりは、まんまと製作者側の策にはまったことになります。そう、結局は、この映画を見たことをも全肯定させるような言葉。コレクション、といっても、別に「物」を集めることだけではないだろうしね。何といっても、原題は「Everything」なわけだし。