奇子、ばるぼら、箱男

 手塚治虫の「ばるぼら」で、登場人物のひとりが(人じゃないけど)安部公房箱男」に言及しているシーンがあります。記憶によると、確かこんな具合に喋ってました。グラスを手にした髪の長いスレンダー美女を想像されたし。<安部先生の「箱男」読んだわ。面白かったわ。でも狂気じみてるわ……。>
 中学生だった自分は、これをきっかけに「箱男」に手を出したのだけれど、当時は何が何やら、ちんぷんかんぷんでした。正直、エロティックな描写にしか反応しませんでしたね。(ちなみに、「ばるぼら」に出て来る“筒井隆康”をきっかけに、筒井康隆の本を読むようになりました。「悪魔的」「ユーモア」みたいな語で形容されてなかったっけ? こちらは、きちんと面白がることができた。)
 ところで、手塚治虫が「ばるぼら」の前にビックコミックで連載していた「奇子」、ここに、パニックを起こすと段ボールに入りたがる27歳女性(主人公)のエピソードが数回描かれていたと記憶するのですが、えーと、これって、手塚治虫版「箱男」――じゃなくて、「箱女」ってことになるのでしょうか? 「奇子」連載が1972〜1973年。「箱男」出版が1973年。(ウィキペディアより。)うーん、ちょっとこの関係、及び時代背景には前から興味があるんすよね。