分煙現象

「一冊の本」で今号から始まった藤井省三の「中国のなかの村上春樹」がおもしろいです。
 第一回のタイトルが「台湾の村上春樹」。「村上ムードの住まいを造れ」と提唱する広告会社の社長や、「ノルウェイの森」の寄宿舎のモデルとなった和敬塾に住み込んでしまった青年等が紹介されています。かなりに、ディープな世界です。
 個人的に、ゆかいだなと思ったのは、台北の学生街に「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」なる珈琲店が存在しているということ。さらには――。あ、これはちょっと抜粋してみようかな。

 阿寛は台湾大学など名門校がある台北市南部の学生街で二軒の「ノルウェイの森珈琲店を経営し、最近では共同出資で「海辺のカフカ」という新しい珈琲店まで開業している。村上の書名を店の名前に使ったのは、「この二作を愛読していたのと、題名がイメージ豊かで想像力をかき立てるからだ」という。たしかに三店とも落ち着いた雰囲気で、若いカップルらで賑わっており、店の一角では村上作品台湾版を販売してもいる。ただし台湾の文学青年には初期の村上作品の主人公と同じく愛煙家が多く、二軒の「ノルウェイの森」では紫煙が渦を巻いており、私は最近ではもっぱら禁煙の「海辺のカフカ」を愛用しているところだ。

ノルウェイの森」と「海辺のカフカ」における分煙現象。うーん、なにかこれ非常にツボにはまるんだけど。
 加えて思う。そのうち、村上大人がふかーく望んでいた「大砂漠」なるバーもどこかに造られるかもしれないね。「ネコまぐれ」なるラブホテルとか。