ぼくが無知

 ウクライナ大統領といったら、日本では「ああ、あのダイオキシンで顔がゆがんだ」ってなコンセンサスが得られる人物だと思う。つーか自分がそうなんだが。他に、知ってる? 彼についての情報? そもそも、彼について興味もってる? だから、きのう書店でもらった新潮社クレスト・ブックスのパンフに、豊崎由美が「大統領の最後の恋」について、「やっぱり主人公が実際の大統領と重なるじゃないですか」と語っているのを読み、「どこがー?」とその売らんかな根性に――豊崎由美にではなく新潮社側に――反感を覚えたのも事実だ。
 だって、似てないもん。ダイオキシン出てこないし。顔ゆがんでないし。期せずして、純喫茶マンハッタンで「やだやだやだやだ」とやだを重ねる赤坂伸子に倣い「むりむりむりむり」と無理を重ねるセリフが頭に浮かんだくらいだ。(知らねーか。)加えて、2001年小泉内閣発足時に「総理と呼ばないで」を再放送し出したフジテレビの行為も。(関東圏で。)便乗すなよ。安易に。安くなんだろ。価値が。
 ――けれども、先ほど、Wikipediaで「ヴィクトル・ユシチェンコ」の項を眺め、「ダイオキシン」だけでなく、「2度結婚」「だらしなさ」「未熟さ」なる単語に触れ、「あ、意外と重なるかも……」と前言(言じゃないけど)を撤回するに至る。すんません。おれが無知でしたー。って、別に「大統領の最後の恋」の売り上げを不必要に伸ばそうとしてるわけじゃないよ。クレスト・ブックスの回し者じゃございやせん。ただ正直なとこを言ってるだけ。