国立博物館特別展:仏像

 よく知らないけど、確かに寺にはその像への説明って付いてないもんね。少なくとも、見易い奴はないような気がする。そういう点で、今回の仏像展は随分と見る人にとって親切な展示なんじゃないかな。理屈抜きで、ファニーと呼ぶに相応しい像の数々を見るのは楽しいしね。最初の十一面観音オンパレードから始まって(細かいんだこの顔の作りがまた)、両端をぎゅっと引っ張ったようなやたらと目も口も鼻も突っ張ってる像があったり。顔面割れてるその中からまた新たな顔面がにゅっと顔を出してるスプラッタな像があったり。結構驚くよ。そのあまりの多彩さに。梅原猛お奨めの円空によるプリミティブアートな仏像もあって自分的には大満足。ただ、僕が見た限りでは、菩薩像が主で、釈迦如来てのは1体しかなかった。それも、江戸の木喰のかなりに個性の溢れた代物。そういう点で、少し離れた法隆寺宝物館にある金剛仏36体の中の如来像には割に有り難みがあったね。平成館での展示が奈良時代から始まるのに対し、こちらのは飛鳥時代のが主だから、それだけ釈迦の影響力が強いのかなって見方も出来たし。名著「仏像のひみつ」で取り分け目を惹く、母親の袖の下からぽこんと赤ちゃんシッダルタが生まれてる像もあったし。可愛いかったよ薄闇の中にぽつんとあって。ま、そんな訳で、平成館で仏像展示を見る人は、ちゃんと法隆寺宝物館にも足を伸ばした方がいいんじゃないかな。ただ、建物自体がかなりモダンな作りなので、レストランか何かと勘違いして通り過ぎないように。

  • 仏像 一木にこめられた祈り

 http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=3460

 http://www.tnm.jp/jp/guide/map/horyujiHomotsukan.html