「真夜中のカーボーイ」

「COWBOY」が「カウボーイ」ではなく「カーボーイ」なのは、水野晴郎の意で「都会的な雰囲気を出したかったから」というものらしいのだけれど……あー、ごめん。なんかその意はぜんぜんぼくには届いてなかったわ。ふつうに「カウボーイ」が出てくる、どちらかといえば土着っぽい雰囲気の映画なんだろうなあと勘違いしていた。そうだね。見終えてわかった。実に、都会っぽい雰囲気の映画だった。土着の中には、なんとなく、エロもパーツも含まれていたのだけれど、それさえも、実に都会的で――なにせ、舞台のほとんどがニューヨークだし――、むー、いい意味で期待は裏切られた。別に土着が嫌というのではなく、単純に、映画としておもしろかったってことだ。(この土着の思い込みには、たぶんに、ダスティン・ホフマンの名も作用していたと思われる。)テキサスから出て来た、カウボーイの格好が好きな男の奇妙奇天烈な放浪譚。1969年作。だけれども、ここに出てくる都会でのひりつくような孤独な感覚が少しも古びてないことにびっくり。あんなパーティ映像をこういう映画で見られるとは……。さらには、主人公のジョン・ヴォイトが、アンジェリーナ・ジョリーの父親だと知って2度びっくり。名前ちがうんだもん。「トゥームレイダー」見てないし。気がつかないよなあ。