毎日新聞:今年のベスト本 

 毎日新聞の読書欄に、執筆メンバーによる今年の本のベスト3が載っている。へー、やっぱり川上弘美の「真鶴」って人気あるんだなー、という感じに、4作ほど重複していたので、ちょっとそれらをリストアップしてみる。
 こんな具合。

 優れた新訳でこの小説の非現実性が明らかになった。人間の性欲とは妄想に由来する、実に文学的なものなのだ。(池澤)

 ちなみに、単行本バージョンは昨年の11月刊。その旨はきちんと記しておいた方がいいような。

 不在が、不在でなくなる。両者のあいだの柵を開けるのは、愛? それとも憎しみ? 川上弘美は、戻ってこない存在を、つよく、激しく、せつなく、待たせる。(堀江)

 ほめまくりだなあ……。

 ふつうのことが、ふつうでなくなる。両者のあいだの柵を開けるのは、自身の老いに対する意識だ。黒井千次は、老いの到来を待たず、あえて迎えに行くような昂揚を描く。(堀江)

 三浦雅士は書評で取り上げたので外したとのこと。つか、堀江敏幸、文章上手すぎ。

 殺人も暴力もない。恋愛もなまなましい現実もない。あるのは過ぎ去った良き日の思い出だけ。『ミーナの行進』はいい意味で浮世離れした友愛の物語。少女たち、老女たち、あるいは飼っているカバ。彼らが住む芦屋のお屋敷が桃源郷のように思えてくる。(川本)

 これもまた5月に紙面で取り上げられていたらしいのだが詳細は突き止められず。
 ――ちなみに、ぼくは、「一日 夢の柵」は未読。「ロリータ」はちょっととっつきづらいかもしれないけど、「真鶴」「ミーナの行進」はだれが読んでも満足できると思うな。
 ということで、参考までに。