双子ですか?

 スポーツクラブの水飲み場で、女性に話し掛けられる。年の頃は、30代後半。前に、同じクラス全員で取った写真を渡しに来てくれたのだ。「お金払いますよ」との申し出をていねいに断った後、彼女はぼくに尋ねた。
「あの、ちょっと質問していいですか」
「はい?」
「もしかすると、双子ですか?」
「え?」
 30数年生きてきて、さすがに「双子ですか?」と訊かれたのは今回がはじめてだった。ちょっとおもしろかった。つか、おとなが発する質問として絶妙だと思った。答えなんかはどうでもいいや。実際ぼくも「いやひとりです」なんてつまんない答えしか返せなかったし。日常に差し込まれた非日常として抜群。今度ぼくも使ってみたいな。(なんとなく、「双子」の心当たりはなくはないのだけれど、ここを読むひとの興味の対象にはなりそうにないので割愛。)