団塊ふたり

 10年前に、村上春樹が「うずまき猫のみつけかた」で、橋本治と山荘で会った話を展開しているのを読んだ。へー、村上春樹が日本の(しかも同世代の)作家について言及するのって珍しくないか? とちょっと嬉しかったのを覚えている。どこに書いてあったっけ? と確認してみたところ(文庫本でも持っている)、あー、ここだここだ。

 一時ある出版社の仕事用の山荘で、橋本治氏と一週間ほど一緒になったことがあるが、毎日一度夕食の席でしか顔を合わせなかった。橋本さんは夜中の9時頃からおもむろに仕事を始め、僕はだいたいそれくらいにおもむろに眠りにつくから、同じ時刻に夕食をとる以外は完璧なすれちがいだったのだ。ふたりで組んで、交代制でコンビニでも経営すれば便利かもしれない。

 文庫版P.102より。
 橋本治の方も、このとき村上春樹から聞いたアメリカの小説についての話を、どこか対談で披露していたよね。相手は島森路子だったかな? それとも中野翠? 女性ってことは覚えてるんだけど。
 話は合うのかな、このふたりは。とよけいな心配もしてしまった。