髭のガキ大将

「ぼくは将来ガキ大将になるんだ」と言ってお父さんを嘆かせた野比のび太くんは、結局ガキ大将となる未来を選ばなかったようだけれど、子供時代の彼が頭に描いていた、髭の生えた大人が子供に混じってガキ大将を演じている姿というのは、もしかすると――藤子不二雄先生じしんの戯画だったのかもしれないなあ、などということを、ふと思いました。その大人の髭が、チョビ髭、つまりは、ヒトラーを想起させるものだったから、自虐を含んだ戯画である可能性を、読んだ当初は露ほどにも疑い得なかったのです。