『原初生命体としての人間』読了

 甘かったなあ。と反省したのは、毎晩風呂あがりに「継続は力なり」を試すべく行っている、開脚前屈のやり方に対してなのですね。せいぜい、毎回3秒くらいだもんなあ。脚を広げて、腕を伸ばして、背を倒して、またできない、と確認し、まあそのうち床につくようになるだろう、焦ることはない、とのんきに構えて……。確かに、焦ることはないというのは正しいのだろうけれど、しかし、どうにも「継続は力なり」なる箴言に多大に寄りかかっている節がある。もうちょっとだけ、真面目に(ということは、今よりは時間をかけて)やってみよう。
 などという具合に、読んでいて、いろいろと喚起させられるものをたっぷり含んでいる1冊。最初、おどろおどろしいタイトルだなあと尻込みをしていたのだけれど、いやいや、全編、たいへん読みやすい文章で埋められています。野口三千三著。岩波現代文庫。2003年刊。野口体操へのアプローチとして、その核となす部分を理解するのには、かなり具合のいい書ではないかと。ぼくは最初、羽鳥操氏の本から入ったのだけれどね。
 こんな檄文もある。

 わがままに徹すること。それによってしか責任をもつことはできない。自分がほんとうにどうしてもやりたいことは何か、どうしてもこのようにしなければいられないというやり方は何か。それがほんとうにわかったら、いや、わからなくてもよい、まるごと全体の自分が、ほんとうにどうしてもと感じるなら、まったく自分勝手にやってみることだ。そうするより他に自分が生きている実感・生きがいは生まれてこない。

 アジテート、されました? ぼくは、ほんのちょっと、されましたよ。