「冒険王・横尾忠則」展

 横尾忠則氏のイラストレーター時代の原画(ペン画)を生で見る、という機会が今までなくて、だから、今回のコンセプトである「冒険王」はきちんと楽しみつつも、どうにも、そちらの存在の方にかなり気を取られていました。なかでも、んー、これは、と唸ったのが、『薔薇刑』での三島由紀夫のイラストレーション。可愛かった。というと語弊がありそうだけれど、いや、実際、似ていることと可愛さとの均衡が、絶妙で。あの構図――首にホースを巻いた三島由紀夫が上を向き、右手に槌を持って天を睨みつけている――自体にも、「イコン」として存分に作用するものがあったからかもしれません。ともかく、あのイラストには、正直、魅せられた。
 今度、どこかで「和田誠」展ってのをやってくれないかなあ? 今までに、たぶんどこかでやったことはあるのだろうけれど、全然、ノーチェックだったもので。小林よしのり風の「川端康成」とか、生で見たい。