『モスラの精神史』読了

 昨夏の本。講談社現代新書小野俊太郎著。昨日、王蟲についてちょこっとばかり触れたのはこの書が為であります。まあ、そういわれてみれば、「モスラ」の後継者としての「ナウシカ」という図には、肯じざるを得ない面がありますね。虫と女性。(いや、現時点では未見なんですけど、「モスラ」。)ならば、ナウシカのモデルとされる「虫愛づる姫君」の存在は、はたして、モスラ原作者3名の脳裡には当時浮かんでいたのだろうか? という疑問もまた生じてきそうにはなってきますが、個人的には——。
 知ってました? モスラの原作者の中に「福永武彦」の名が連ねられていたことを? 有名なのかな? いやーでもかなりたまげたな。別に「モスラ」という作品を軽く見ているわけではないのだけれど。むしろその逆。でなければ、このような書に手などを出しません。ただ、やはり、「モスラ」と「福永武彦」という名は、自分の中では別宇宙に中におのおの存在していたというのもまた事実なのであります。
 唐突ですが、池澤夏樹が、離婚した父親についてはじめて知ったのが高校時代なのだそうです。Wikipediaに書いてあった。とすると、1961年くらい? で、「モスラ」上映も、ちょうどそのくらいだ。うーん。池澤夏樹。いわずとしれた、福永武彦の御子息……。果たして、このときの武彦&夏樹親子の情動は、映画「モスラ」にどのような形で影響を与えていたのでしょうか? 引き裂かれた親子(小美人とモスラ)の再会? どうなんでしょうね? 各読者の間では「なにをいまさら」といった事象なのかな?
 ちなみに、「モスラの歌」は、やっぱり初代がベストだね(→)。「南方幻想」と共に、「60年代幻想」というものも、けっこう自分の中では濃厚の存在していたりする。