めまい

 大学生の頃は、平気で3ヶ月くらい誰とも喋らずに暮らしていた。アパートにひとり籠って、図書館で借りた本を眺める、そんな日々。よく「長期間ひとと喋らなければ精神に異常をきたす」なんて言葉を見かけるけれど、別に、全然へっちゃらだったね。むしろ、今みたいに、特に喋りたくもないひとと義務で喋らなければならない状況の方が断然きつい。いくら、円滑に仕事を進める為とはいってもね。私の場合、その手の限度が著しく小さいから、まあいろんなところで支障が生じてしまうという訳だ。ふう。と軽くため息。あの頃が懐かしい。将来のことなど丸投げで、「ま、どうにかなるだろう」と半ば楽観、半ば絶望、そして静かな怒りで全体をまぶしてた日々。そうして迎えた今、楽観の影は消えつつ、静かな怒りは相変わらず波になって蠢いてる。絶望? それはもう、「絶望」の名で呼ばれるようなレベルに身を置いてないです。