ミスリード

 そんな中、多和田葉子「土木計画」を2回読んだ。1回読んだだけではどうにも理解できない内容となっていたから。要するに、多和田葉子による堂々たるミスリードが含まれているのだけれど、えーと、これっていわゆる「ネタばれ」になっちゃうのかな。特にバラしても構わない要素だとは思うけど、作者が意図して隠してるとしたら、そりゃ失礼だもんねえ。しかし、「満雄」と聞いたらやっぱりふつう主人公の夫と思うだろうし、その母親の「克枝」となったら、やっぱり姑と目されても不思議はないでしょう。「満雄」の子供の「みみちゃん」でちょっと「あれ?」と思ったけれど、まあ多和田葉子的世界ではこのくらいの名前に過敏に反応する方が野暮ってもんだし。
 2回読んで、当然1回目とは180度違った感想を抱く。うーん、やはりかなり意図したミスリードだったのかな。1回読んだだけではさほど印象に残る作品ではなかったのですが。