コピー溢れる

 読んでる間はおもしろいと思っていたのに、いざ読み終えて「感想は?」と聞かれても、「うーん」とことばを濁す自分がいる。いや、実際おもしろかったんすよ。いろいろ、脳みそ活性化させるような言葉にも出会えたし。けれども、「それ教えて」と言われると・・・ちょっと恥ずかしいかも。かなりの「はげまし本」ではあります。
 著者後藤繁雄をはじめて知ったのは、例によってよしもとばなな経由。たしか読売の書評欄で「天国でブルー」って本を取り上げてたのじゃなかったっけ。読まなかったけど。エッセイにもちらっと出ていたような。このひとの本では、坂本龍一にインタビューした「skmt」が一番おもしろかった。いや、坂本龍一という素材だけに負わず、その構成(質問を含め)がよかったのだと思うよ。
 私の中では、後藤繁雄って松浦弥太郎(「cow books」店長)と同じカテゴリーに属するのだが、それに何と名前を付けていいか、今もってよくわからない。ちょっと糸井重里と被るような。どうなんだろ。ある種の若者に、好かれそう。すなおな感じの。21世紀には、そうした若者がますます増えていくのだと思う。そして、彼ら彼女らが多数派になれば、この世界ももっとよくなるような気はする。するのだけれど、しかし、そうした情勢に、若干反発を感じたり・・・なんてことはカミングアウトしない方が無難か。(別に、後藤や松浦に反発を感じてるんじゃないよ。彼らにつき従う若者のことを「すなおだなあ」と感心しているだけです。)
 てんとう虫コミックスドラえもん」第2巻。「ゆめふうりん」のエピソード。野比のび助氏が小学生の息子のび太に訊ねる。「君は将来何になりたいんだね?」のび太答えて曰く、「僕は将来ガキ大将になりたい」。なぜなら、そのころには子供たちに負けない知力体力を備えているから。これを聞き、父のび助はガクッと倒れる。「な、なんて情けない奴だ」。なぜに急にこんなことを? 別に後藤繁雄が「ガキ大将」というわけでもないのに。ただ、「ガキ大将」につき従う子供ってのは、ちょっと、ね。主観の問題だが。