懐かしさは残る

 文藝別冊「総特集 楳図かずお」を拾い読み。(結局図書館で借りてきました。)中に、「わたしは真悟」の担当編集者だったひとの言葉が載っている。
 いわく、はじめはもうすこし静かなラストにする予定だった。大人になったさとるは、廃棄場に運ばれようとする真悟を見ても何も気付かない。それでも真悟は昔のように「まりんは今もあなたのことを愛しているのですよ」とメッセージを伝える・・・。
 うわー。これは、かなりリリカルだなあ。(ちなみに、真悟というのは、12歳だったさとるとまりんがつくった「子供」です。)そっか。忘れてるんだ。12歳のときに必死に愛を育んだことも。その愛がみごとな奇跡を生んだことも。別離の哀しみ。それは生身のひととのリアルな別れだけでなく、自分の過去との別れも指すのだ。(「千と千尋」のせつなさも案外これとダブるのだけど、如何?)とかいって、現実に大人になるのを拒否するのは、ネバーランドに住むMJだったりするから、まったく世の中はままならない。
 高野文子なら、この「さとるとまりん、その後」を上手く描けそうな気がする。妄想かしら。どこかでカバーしてくれないかな。