伊藤比呂美「ラヴソング」を眺める。詩とエッセイと(表題の)ラヴソング、そして創作から成る本。著者談によると、なにやら家庭がゴチャゴチャしている最中に書かれたものらしい。前書きに「どれも、これも、あんまりつらくて、長い間、読み返すことができませんでした」とある。ただ、一読した限りでは、そのような、ひしひしとしたつらさは伝わって来ず。代わりに、ポップな文章があちこちに散らばっていて、逆に楽しくなってしまった。

 わたしが観察するところ、コドモは家庭主義者の単一婚主義者です。いったい娘たちは、親の恋愛をどう思っているのかしら。あるいは今後ともどう思っていくのかしら。レンアイ? 何それ? とついぐちを言いたくなるほど、親の恋愛はこんぐらがってるもんで、多少コトバはきついですが、親の性的関係とでも訳させてもらいます。

■小学生時代、同級生から「口につばを入れられた」と語る成宮寛貴。彼はそれを「いじめ」と解釈していたけれど、もしかすると、つばを入れた側からすれば、れっきとした「愛情表現」だったのかもしれない。ローティーンにして、かなりディープな。昨日ビデオに録った「情熱大陸」を見て、そんなことを思う。