中野晴行著「マンガ産業論」(筑摩書房)を読む。作品や作家を論じるのではなく、あくまで「マンガ産業」にこだわった本。戦後から現代にかけて、雑誌やテレビとマンガはどう関わってきたかについて多くのページが割かれている。
 ま、当然のようにおもしろかったです。戦後マンガ史の資料としても優れていると思う。ベストセラーになった作品には、その都度初版部数が書かれているし。(「DRAGON BALL」28巻、初版280万部、とか。)著者の中野さんはほんとうに(ジャンルとしての)マンガが好きなんだろうな。
 ただし、チラと思わないでもない。テレビや映画やコンビニを利用しての“売らんが為の戦略”。そんな、計算づくしで売られたマンガにどんな魅力があるんだろう・・・って、けっこうそういうのもおもしろかったりするんだよな。なるべくなら、マンガ独自の力で、タイアップなど無しに売れて欲しいと思うのだけれど、自分でも「青いこと言ってるなあ」ということは自覚してます。