ナンシー・リカ・シフ「世にも奇妙な職業案内」(ブルース・インターアクションズ)に目を通す。小太りのお婆さんが、男性のわきに何やら用具を近付けてクンクン臭いを嗅いでる表紙。この女性は、れっきとした「におい鑑定人」のプロなのです。まぁそうした、ちょっと変わった職種ばかりを写真付きで紹介している本。
 そう、世の中には「死体洗い」という職業があるのだ。英語では「Diener」、手元の辞書には載ってなかったけど、なんだろう「死体を扱うひと」とでもいう意味なのかな。
 昔、大江健三郎の「死者の奢り」を読んで、「ぼくにも死体洗いのバイトを紹介して下さい!」と頼み込んだ学生がいたらしい。あの、養老孟司の元に。(確か、「涼しい脳味噌」に入ってた話です。)「バカヤロ、そんなのあるわけないだろ」と追い返したとのことだけれど、なんだ、きちんと「死体洗い」という職業自体はあるんだな。当たり前か。
 ここで紹介されてるラリー・ジーくん、素っ裸の死体のわきで、ほがらかに笑っている。ストレスとかないんだろうか。普段どんなことを思いながら友人たちを食事をしているのだろう。ペンと紙を持たせたら、養老先生並みのユニークな考えを披露してくれること必至だな。