A.A.ミルン「クマのプーさん」

クマのプーさん (岩波少年文庫 (008))
 最後に、クリストファー・ロビンがぬいぐるみのプーを引きずって、階段を登っていくイラストがあるのだけれど、なんだかそこが、ぼくには少し恐かったです。恐かったというか、なんというか。今まで一緒に楽しく遊んでいたクマのプーが、実はただのぬいぐるみだった、ということを強調しているように思われて。それこそ、ドラえもんの話は、全てのび太の妄想だったなんてオチに遭遇した時のような違和感。そして階段の踊り場には、これまたコブタやイーヨーがただ重なって置かれているという。夢オチ・・・。いや、別に「オチ」ではなく、きちんと読者であるこどもたちを現実に戻すために取られた処置なのかもしれません。ディズニー版では、あったのかな。この、ぬいぐるみ然としたプーやピグレットのイラストって。
 あ。おはなしじたいはたいへんかわいかったですよ。オバQの世界っぽい。(逆か。オバQが、ミルンの世界っぽいというべきか。)ただ、やはり、最後の寂寥感が、ちょっと。さすがイギリス児童文学。というかなんというか。