阿川対談「堀江貴文」

 興味がなくはないのだけれど、残念ながら野球全般にはまるで無知で、どこから入っていいのかわからない。というわけで、今週号の週刊文春に載った阿川佐和子対談「堀江貴文」の回を読んでみました。しろうとにもわかる堀江貴文
 すごいねえ。「一般の人にはライブドアって何の会社かわからないですよね」という阿川質問に対し。あ。これは全文ピックアップしてみるかな。

堀江 みんな調べないで実体はないとか言うしね。
阿川 調べてもよくわかんないと思うんですよ。
堀江 いいじゃないですか。わかんなくても。わかる必要があるんですか?
阿川 何屋さんかわかったほうが・・・。
堀江 何屋さんかわかると、何かいいことあるんですか?
阿川 そのひとが何を売って、どうやってお金を稼いでいるのか・・・。
堀江 それがわかったら、何か意味があるんですか?
阿川 そんなに怒んないで下さいよ。
堀江 いやいや、逆に質問なんですよ。わかってどうすんのかなと思って。

 はは。困ってんなあ、阿川さん。やりにくそうだ。この後彼女はもう一回堀江社長に怒られて。うーん。でもさすが。海千山千。(違うか。)最後までペースを崩さず、読み物としてきちんとおもしろい代物に仕上がってます。これで阿川佐和子がパニクっても、何もいいものは生み出せないもんね。たいへんそうだと察しつつ。
 その他。個人的に「へぇ」ポイントの高かった箇所。

阿川 どういう会社になるんですか。
堀江 まず世界一の営業利益をあげる会社になるでしょう。毎年一兆円から二兆円上げる会社にしようと思ってるんです。今年はまだ五十億円ぐらいですから四百倍に。それが、二十年後なのか、十年後なのか、五年後なのか、どのぐらい短縮できるかを今やっているわけです。

阿川 もし新規参入がダメだったら?
堀江 ダメだったらとか考えないですよ。僕、その先のことなんかノーアイデアですよ。ダメだったらどうするかとか、もし負けたらなんて縁起でもないこと考えるのって無意味でしょう。落選したときのことを考えて、私に何か得がありますか?勝つことを信じて、全力投球したほうが効率よくないですか?

阿川 〔野球界のことを〕ネクタイしてなくてTシャツ着てるとか、何でもうけてるかわかんないとか、外見とか雰囲気で拒絶するようなところもありますよね。
堀江 人種差別みたいなもんですよね。

堀江 僕はビジネスでも、いつもウィンウィン(WIN WIN)の関係を築きたいなと思ってるんですよ。
阿川 カツカツ(勝つ勝つ)?
堀江 「カツカツ」というとイメージ悪いけど(笑)。どっちかが損するんじゃなくて、両方とも特をするビジネス関係を築き上げていかないと長続きしないと思うから。そこにすごく力を入れてる。野球の場合も同じで、僕らだけが特をしようなんてこれっぽっちも思ってない。

 まさに「へぇー」の連発。おもしろいですね。言葉として。勉強になる。
 バルザック「ペール・ゴリオ」の中で、「成功する秘訣は?」との質問に「既に成功しているふりをすることだ」と答える場面があって、これを読んだときも「へぇー」と思ったけど、堀江社長、まさにこのセリフを地で行ってますな。いや、既にばっちり成功してるんだろうけど。
 最後に、堀江社長、意味深に「ダメなものは滅びますから」とのセリフを残している。まあ、そりゃそうだ。悪貨が良貨を駆逐する世界もあろうが、基本的に、ダメなものは滅びますよね。「ダメ」の名において。おそろしいなあ。もちろん、「自戒の意」を込めての発言なんだろう。買いかぶり過ぎか?というか(またぞろ)穿ち過ぎかな。
[追記]
 穿ち過ぎですね。彼の辞書に(たぶん)自分がダメなんて言葉は入ってない・・・。