似てない自画像

 今日の読売新聞夕刊に、「失踪日記」の紹介と共に、著者吾妻ひでおの顔写真が載っていた。学者然とした、あまり愛想の良さそうでない、どことなく中年期の富永一朗を想起させる口ひげを生やした太ったおじさんだった。同じページに載っている、ニコニコ顔の、年齢を超越した自画像イラストとはまるで似ても似つかない風貌なのだけれど、この写真を見て、はじめて、「失踪日記」を読んでみようかなと思った次第。(似ても似つかない、といえば、いしいひさいち黒田硫黄の自画像イラストもかなりのものではある。ナルシズムとも違うあれらは、つまり「魂の」自画像とでも言うべきものか。それとも何か商売上の戦略なのか。)
 ところで、「失踪日記」は現在6万部売れているとのこと。この紹介記事をきっかけに、さらに部数は伸びる筈だ。大塚英志は記事内で「美少女キャラクターも不条理も『萌え』も、みんな吾妻さんが原点。こういう先人に対して、僕らは黙って頭を垂れるしかない」と熱烈に語っている。