突然およげる

 クロールで2000メートル泳ぎ切る。うわーい。まるで「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」(長いね)に載っている村上春樹みたいな気分だ。

 今年の夏、クロールで二千メートル以上休みなく泳げるようになったのである。それもある朝気がついたら、これという思い当たる節もなく、突然すらすらと泳げるようになっていた。僕はそれまではクロールではせいぜい五百メートルくらいしか泳げなくて、それもはあはあ息を切らせていたのだが、今では一時間くらい泳いでも不思議なほど疲れない。息も切れない。どうしてこんなことがわが身に起こったのかよく理解できないのだが、でも何はともあれ結果よければすべて良しで、プールをひとり黙々と往復しながら、嬉しくてつい水中でにこにこしてしまったりする。

 わかるなー。
「突然すらすら」というのがポイントっすね。実際に、その通りだったから。
 忍者がジャンプ力を鍛えるため(成長の早い)筍を使い練習に励んだ、といった、質実剛健のエピソードに眼をくらまされてはいけないのかもしれません。ちょっと古いが、ティッピング・ポイントを越しさえすれば、あとはもうウハウハの世界が待っている……。
 なんて、運動神経においては多大に野比のび太にシンパシーを感じざるを得ない学生時代を送ってきたので、かなりいい気になる週末であります。3日後かな、筋肉痛が来るのは。
(そういえば、吉永小百合ってまだ毎日泳いでいるのだろうか? バタフライで、1000メートルを。)