何もそこまで

 なんか、かわいそうだな。三島由紀夫って。公然と、いじめてもいい対象として認知されているような感さえあるよ。たとえ死んでからでもね。いや、あの死に様がそうした許可を認知させてもいるんだろうけれど、うーん、もうちょっとさあ、やさしくしてもええんでないかい? とか思ってしまったりしてね。批評は批評で大事なんだろうけど、けっこう、いるからなあ。オレ三島キライ・どこがいいの? 発言を無関係な文脈で声高に述べてる人って。(現在、途中まで「青の時代」を読んでる最中。ふつうに、おもしろいねこれは。)

 ものを書くってことは針金で型を作って、次に粘土で固めて、石膏塗って、色付けてなんてものじゃない。文学というのは、妙な言い方だけど、書かされるのを待つだけなんだよ。そして、書き終わっても、何を書いたかわからないものなんだ。だから、三島由紀夫の作品は、本当の意味で芸術じゃない。上手に書かれた書き物なんだよ。

 上の綿矢発言(2003年10月2日・日経夕刊)を確認する際、同じスクラップブックに挟んであった某作家のセリフ。――ということになってはいるけれど、これって、公式な発言としてカウントしても構わないものなのかな? まさか、この作家紹介にかこつけて、記者が「芸術じゃない」と言いたかっただけとか。んなことないか。有名な、対立なのかな? きのうの安部さんなんだけどね。(なにが某だか。)2003年10月9日、読売夕刊より。