万延元年・途中報告

 毎日1章ずつ読んでいる。今日で11章まで終了。とすると、このぶんではあさって読み終える(筈だ)。

 僕がいったん書いた原稿を徹底して書きなおす手続きを作ったのは『万延元年のフットボール』からだが、草稿を書くのに爽快があるのに対して、書き直しはたいていいつも苦渋の味がする労作となった。

「読むための大江健三郎年譜」(「大江健三郎・再発見」所収)より。
 だからだろうか。現時点では、第一章で味わったような、グロテスクな陶酔は感じられず、事件があっても、淡々とした、かなり俯瞰された描写がされているように思った。(もしくは「思わされている」。)