讒する

「双調平家物語」を読んでいると、やたらと「讒する」なる語に出会す。読みは「ザンする」。本文では、わかりづらいことはないのだけれど、いちおうその意を確認してみると、

ざん・する 3 【▼讒する】
(動サ変)[文]サ変 ざん・す
人を陥れるために事実を曲げて告げ口する。讒言をする。

 goo辞書より(→)。
 要するに、あらぬ噂を立てて、その人の社会的生命を抹殺するってことかな? おっそろしいなあ……。
 どんな具合に登場しているのかというと、

 人に讒されぬための心得は一つ――人より浮かび上がらぬこと。讒するための心得も一つ――広く味方を得ること。ただこれだけである。一度(ひとたび)人に讒されて、これを覆すことは容易ではない。それゆえに、どれほどの数の無実の人たちが罪に落とされてきたか。それに妬心(としん)を抱くひとの数が増えれば、それがすなわち、讒されるときなのである。

「愚衷」より。
 讒するための心得かあ……。使いたくねえ。(「讒する」という語の存在じたいはおもしろいと思うけど。)
 あと、もしかすると、「讒する」には、「妬心」のないものは含めないのかな? ただなんとなく、「陥れるために事実を曲げて告げ口する」ものとか。こわすぎるか。それは。通り魔みたいで。