「村上朝日堂の逆襲」再読

 再読癖が付いたのか、今は「村上朝日堂の逆襲」を読み返してます。ぼくがはじめて読んだ村上春樹の本。「ノルウェイの森」大ブームの頃に、父親から貰ったのです。つか、彼は、なぜだか「ノルウェイの森」緑色の下巻だけを買っていたんだよなあ。ぼくは後から自分で文庫本の上巻を買った。あれは何だったのだろう? まあ、そのくらい、つまりは、池波正太郎フリークの中年男性にさえ手を伸ばさせる程の威力があったってことですね。当時の「ノルウェイの森」には。
 それはともかく。
 んーやっぱりぼくは村上春樹のエッセイでならこの本がいちばん好きだなあ。インプリンティング効果なのかもしれないけれど、いちいち、「あーこれは東西線木場駅ふきんで読んだところだ」と、過去にどこで何をしながら読んだかをも思い返すことができた。「セーラー服を着た鉛筆」とか、まあはじめて読む中学生にはたいへん楽しい文章ですよね。ぼくは、この本から、かなり影響を受けている節もある。「日記とか、そういうものについて」の、

 とにかく「非情緒的」というのがいいよなあ。

なるフレーズにより、今でもぼくの書く日記には、情緒面が一切記されていないのです。
 あーあと、

 十代の頃に『カラマーゾフの兄弟』と『ジャン・クリストフ』と『戦争と平和』と「静かなるドン』を三回ずつ読んだことを思えばまさに昔日の感がある。

との記載にも、いろんな意味で、影響を受けたなあ……。「受けた」だけなんですが。