墓碑銘

  ……の正確な意味って、今回はじめて知りましたよ。「墓石に刻んだ文句」のことなんすね。そっか。「著名人の死亡記事」の意味じゃないんだ……。いや、もちろん現在ではそうした(新聞や雑誌での)「著名人の死亡記事」といった意味合いも含まれているんだろうけれど――つか、僕はそれこそ(新聞や雑誌での)「著名人の死亡記事」という意味でしかこの語に触れたことはない――今回、週刊新潮に載った池田晶子の最終稿「墓碑銘」は、正に正確な意味での「墓碑銘」だったので、ほう、大したもんだ、と深く感じ入った次第であります。いや、彼女の好きな「辞世の句」というタイトルでも、全然平気だったかもしれません。面白いという言い方は語弊があるかもしれないけれど、でも、実際、僕にはあの文章は大変面白かった。なので、少し、泣きましたよ。彼女の死の報に触れてはじめて。週刊新潮も、堂々と2ページも彼女の死について割いていて、おや、優しいとこもあるんだなと少し思った。(甘いかなこの見方は。)