「装丁物語」/「似顔絵物語」

 オレって凄いでしょ? みたいな人の毒気にあてられた後で、和田誠の「装丁物語」そして「似顔絵物語」を読むと、そのあまりのまともさにほっとせざるを得ません。あー、やっぱいいなあ、和田誠は。一服の清涼剤――平野レミが惚れ込むのもわかります。って、よく知らないんですが平野レミさんのことは。なんですかね? ぼくの父親よりもはるかに年上なのに(1936年生まれ!)、どこかしら、自分の好きな道をていねいに歩み続けた弟みたいな雰囲気があります。育ちのよさってこういうことを言うのかなあ? ほんとうは、寝しなにちびちび読んでいくはずだったのに、ついつい一気読みしてしまった。うん。そう。読み易いんですよ。各々の固有名詞に覚えがなくてもすらすら読めてしまう。というわけで、この2冊の名、覚えておいて、損はないと思いますよ。