ちょっと親戚に不幸があったのだけれど

 電車の中で揺られながら、ひさしぶりに会ういとこたちに言う文章を考える。「まあ・急なことで・なんなのだけれど・あまり気を落とさないように……。」なにを言っても、どうしても、嘘っぽくなってしまう(つまりは定型に沿ってしまう)のは、まあ仕方がないっす。うむ。
 ひとりは、げんざい、格闘技をぜったいにやってはいけない宗教に入っているのだけれど、小さい頃、ディズニーランドのホーンテッドマンションに並んでいる間、たいくつまぎれにポコポコとぼくの腹をなぐっていたことなんか、きっと覚えていないんだろうなあ……。じつに立派なサラリーマン顔になってしまって……。かんがいぶかい。
 わりに緊張して、へどもどと、「まあ・急なことでなんなのだけれど・あまり気を落とさないように……」と口にしたら、「いいから、いいから」と、軽く笑いながら(でも涙目)、いなされてしまった。
「思えば、お互い、遠くに来てしまったねぇ。」――と、こんなことを言ってもほんとうにしょうがないから口にしなかったのだけれど、実際に現場で強く思ったのは、そういうことでした。