『光ってみえるもの、あれは』読了

 マサコさんの娘の名がアイコさんだというのは何かの符牒? というのは読売新聞に連載されていた当時には思いもしなかった発想ではあります。2001年5月から2002年3月にかけての連載だったからねえ。なにかを見越しての命名だったのか? それとも……。(マサコさんの「マサ」は大江匡房の「匡」なのだけれど。)川上弘美の男子高校生を主人公とした青春小説。2006年刊。中公文庫版。再々読っす。川上弘美氏の描く女の子たちはいやみのないキュートさを発揮していていいですね。いつも思う。「ちからの入らなさ加減が、好き」なんてこともさらりというしね。あと、キタガーくんは『センセイの鞄』のセンセイこと松本春綱先生の若い頃を彷彿とさせる滋味を出しまくりだ、とは今回新たに気づいた次第。どちらも国語の先生だし。マサコ、アイコの件以前に、こっちの方にこそ先に気がついてなけりゃならなかったかな?