居職

 ときに、ぼくは上記『此処彼処』を読んで、はじめて「居職」なる語の存在を知りました。居職? なんと読むのだ? イショク? キョショク? ちがいますね。正解は——「イジョク」:自宅で仕事をする職業←とは辞書の説明なのだけれど、注目すべきは、そうしたことばの指している意味自体にではなく、「イジョク」という音感にあるのではないかと思ったのです。他にあるか? 「職」がにごる熟語って。「汚職」でさえ——にごってもよさそうなものだけれど——「オジョク」ではなく「オショク」なのに。「居職」という語が人口に膾炙してない(してないっすよね?)理由は、はっきりとこのにごりに因があるような気さえします。いい語なんだけどなー。「在宅」よりよっぽどいい。ほんと、どうしてにごるんだろう?