カーテンを買う

 新しい家具を選ぶよりも新しいカーテンを選ぶ方がずっと大変だとは、確か、この前図書館に返した金井美恵子著『迷い猫あずかってます』に書かれていたことで、なるほど、なにより、その選択肢の多さに辟易してしまうんだろうなあ――機能面というオプションはどれもそう変わらないだろうし――と、本が手元にない今となっては、勝手に想像するより他ないのですが、でもそういうのも、もしかすると時代限定の所感なのかもしれません。この前自分、30分もしないで選んだ。カーテン。ニトリで。ビニールに入っている分。薄緑色のを。ここでのプライオリティは、センスのいいものを選ぶ、ではなく、はっきりと、時間を掛けずに選ぶ、という行為自体にあったから、という理由が大きいものの、20年以上使っていたカーテンとは明らかに違う布地の薄さ(そして軽さ)に触れてみて、ああ、昔の方が、それこそ「インテリア」としてのカーテンの価値が今よりもはるかに高かったんだろうなあという風に(これもまた勝手に)想像しないでもないですね。まあこれもひと(というか部屋)それぞれなんだろうけれど。「Mr.& Mrs Smith」での豪奢なカーテンを頑張って取り付けようとしているアンジェリーナ・ジョリーの後ろ姿を呆然と見つめるブラッド・ピットという図をつい思い出しそうにもなってしまう。