江國香織評『昔のミセス』

 おっと。毎日新聞金井美恵子氏の新刊が取り上げられています。めずらしい。幻戯書房刊『昔のミセス』。しかも、評者は、江國香織氏(→)。

 美しい無駄をふんだんに盛り込んだ文章は、ごくごく飲みたいくらいおもしろい。無駄という言い方は誤解を生むかもしれないのでつけ加えると、ふっくらしたもの、おかしみのあるもの、色や匂いや手ざわりに満ちたもの、は、世間では大抵無駄とされている。そんなふうに言えば婦人雑誌そのものが無駄なのだし、いい文章というのも実にまったく無駄なのだ。そういう意味の、無駄。

 無駄、か。(うまいなあ……。)