『ウンココロ』読了

 ……にしても、ウンコを前にして、ニュートラルというか、中道の態度を貫くのってかなりに難しいものがありますね。激しく厭うか、もしくはおちゃらけるか。この本で展開されている「LOVE UNCO」ワールドは、一見、後者の部類に属しているかのように思えるけれども、その実、全篇、真のウンコに対する愛情に裏打ちされているから、上述、ニュートラル・中道云々などと思いわずらっていることじたいがばかばかしくなってきます。(まあそこまで真剣なものではないのだけれど。)つまりは、ウンコを前にしてこそ演出はその真価を激しく問われるというハードルを、この本は、すみからすみまでクリアしているということです。
 どうなんすかね? この本をプレゼントするのって、ぼくにとってのかなり上位の愛情表現になっているのだけれど、ちゃんと相手は真摯に受け止めてくれるものなのでしょうか? いやほんとに、真面目さとキュートさとユーモアとその上実用性とを兼ねそなえてて、「愛とはかくあるべし」ってことをみごとに体現している希有な本だと思うんだけれどな。寄藤文平のイラストの下で、「たばこは二十歳になってから」なんて字句をさりげなく見せられた日にはもう完璧に脱帽だし。副題「しあわせウンコ生活のススメ」(←匙加減が絶妙)。寄藤文平藤田紘一郎著。2005年。実業之日本社刊。