『夕子ちゃんの近道』読了

 図書館回帰第3弾。長嶋有著。(←いつでもこの語を打つと「長嶋郵貯」になってしまう。覚えないっすねえ。)新潮社刊。2006年。いわずとしれた記念すべき栄えある大江健三郎賞第1受賞作。というわりにミーハーな理由で手にとってみたところ——ちょっと難解で深遠なのかなとか畏れつつ——ふだんならこんなところで笑うのかなあってところでじっさいに声に出して笑っていた、ということを俯瞰しつつ思っていた、ということはつまりかなりにトリップしていた(飛んでいた)ってことっすね。気持ちよかったっす。深遠は深遠だけれど(かってにそう思い込んでいるだけなのかもしれないけれど)、楽しいし、難解じゃなかったっすねえ。じゅうぶんに長嶋有の世界でした。よかった。最後の1行(正確にはボーナストラック分も入れて2行)で余韻に浸れるし。笑ったってのは、「ゲラン」を怪獣に喩えるところを境にだったんだけれど、こういうのって、ほんと説明するのはむつかしいのだけれど、いわゆるツボだから、押されるとそれだけでもうとことんまで行ってしまいますね。