ふところの犬

 初詣はすごい人だかりで——といってもぼくはまだ行っていないのですが——そのすごい人だかりに中に小型犬を連れている初老の男性がいたと聞き、なんだかなあと思いつつも、その人が、いざ賽銭を入れ終えたあと、ふところに抱いた犬の両前足を合わせていっしょに拝んでいた、という話になると、にやにやしてしまうというかなんというか。そういえば、前に、公園に亀を連れている初老の女性がいて、一生懸命、ふところの亀に対し、樹木の種類の説明をしているのを目にする機会があって、これもまあ又なんというか。さみしい、なんて言葉をここで持ち出すのは非常にかんたんで、個人的にはこういうのって誹諧に通じるものがあるんじゃなかろうか、などという風にも思っているのだけれど、いかがでしょうか? 俳句のプロパーからすると「おかしな先入観で見るな」と叱られる事態となるのかな? いやよく知らないんすけどね。小林一茶ぽいかなあ、とか。