食指

 食指が動くの食指とは、辞書に拠れば人さし指というのが正しいのだろうけれど、個人的にはそれよりも、実際に食指が動く場面を想定してみると、むしろ触手状のものが体内で(というかオーラとして)その食指が動く対象に向かってうねうねと近づき蠢き絡めるといった方がしっくり来るところは確実にありますね。つまりはこれって単に最初に「食指が動く」を勘違いして「触手が動く」という風に覚え込んでしまったことによる弊害——とまではいかずとも、まあインプリンティング? とわかっていつつも、現在でもぼくが「食指が動く」ということばを使うときには、はっきりと、意味としては全然人さし指のことなんて気にも止めずに勝手に触手状のものがくねくねとその対象に向かい接しようとして動いているつもりで、使っています。と、ここで宣言をしてもしょうがないといえばしょうがないんだけれど。まあそういうことです。でも他にいるんじゃないかな? こういう風に「食指が動く」を使うときに脳内でアメーバ状の触手を蠢かしていざ対象を捕らえようとしているひとって。いやひとりでもふたりでも存在してたらいいな(愉快だな)と思ってためしにここで書いてみた次第。どうっすかねえ?