『スキップ』読了

 懐かしいっすか? ぼくもまさかこの本を実際に手にする機会が訪れようとは。北村薫著。1999年の新潮文庫。とうぜんのように図書館でのこの本はぼろっぼろ。皆に、愛されてるんでしょうなあ。あのですね、最初に読み始めたときには、ふつうのタイムスリップの話かと額面通りに受け取っていたのですね。つまりは、17歳の女の子が42歳の女性へと突然何の説明もなくスキップして、いったいいかにして元の17歳の状態に戻れるのかとしんけんに模索する話、かと。もしそうだとしたら、たとえコーティングをされていたとしても、けっしてよれたり透明シールの中に空気の泡が入るくらいに人々の手に長年に渡って取られることもなかったろうしなあ……。ということに気付いた途端に、俄然、おもしろくなったという次第。なんにせよ遅いといえば遅い。