『ぼくの小鳥ちゃん』読了

 で、同じ江國香織著ながら又こっちはまるで毛色が異なっていて。実際、荒井良二氏のイラストはカラフルだし。ポップスみたいっすね。本の作りじたいが。そうそう。毎回江國香織作品を読んで感じるのが、善意と悪意の配分が絶妙、ということで、この作品なんか、そういう意味において極北ではないかと。具体的なエピソードの配合も、うまい、としかいいようがないしなあ。(しりとりのパーツとか。)この本での各関係性に着目すると、ネオ藤子・F・不二雄っぽい。というより、ピーターパンとウェンディとティンカー・ベル? 繰り返しますが、上記『すいかの匂い』との振幅の差は、一体何ごとなんだろう……。これは個人的な感想、と断ったうえで、この本に出て来る「ラム酒のかかったアイスクリーム」という味覚は、『すいかの匂い』では、登場できないものでしょう。登場しても、極めて比喩的なものになっちゃうんじゃないかな? 江國香織著。2001年の新潮文庫