『狂骨の夢』読了

 謎の上に謎が絡みその謎がまた次の謎と密接に関わり合うという錯綜状況をどうやって最終的に整理していくのか、というところに、とうぜん必死にページを繰っている者のひとりとしては目が行ってしまうのですが、今回のこれは、旧2作よりも、少々ハードでしたねえ。謎ときに関して云うと。前の頁に戻って、あれ、どうだったっけ? と確認せざるを得ないこと数10回。関口巽くんの一人称が採用されてなかったからかしら? とはいっても、今回は、他の一人称を際立たせなければならないが故に致し方のないことだったのだろうけれども。
 その関口くんのパーソナリティも、今までの2作よりもさらに拍車が掛かってて、そういや、人の目を見て話さないところなど、一人称では到底表現できないことではあるもんなあ……。
 斯のシリーズにおける、それぞれのキャラクターに付いている熱烈なファンの存在について、ぼくなんかは、それこそ伝え聞くレベルでしか耳にしたことはないのだけれど——つまりは勝手にその交感風景を想像するより他ないのだけれど——ヒーローでなく、ヒロインにおける存在感、というのは、フリークのひとたちにいったいどのように語られているのでしょうね? いやだから、男の登場人物と、女の登場人物において、京極夏彦はまるで異なるアプローチを用いて描いているように思えたもので。優劣、ではなく、純粋に、異なる。わりに興味ぶかい。というわけで、謎ときに関しては息ぎれ状態だったのですが、やっぱり、かなりに面白かったことは面白かったので、シリーズ第4弾、次の『鉄鼠の檻』も読みます。京極夏彦著。2000年の講談社文庫。