『鉄鼠の檻』読了

 話者としての関口巽の復活にまずは1票。禅を扱っているということにも加えて1票。積雪の箱根という舞台設定にもさらなる1票。それから——と、このあと続けるのはいささかのさわりがあるので、まあ、読んだひとには「あれのことか」とわかる、とだけ付け加えて、いやー、おもしろかった。との感嘆の息をここでもほっと吐くことにいたします。さわり、というか、ちょっと照れてるだけなんすけど。
 あくまで個人的には、前作『狂骨の夢』よりも、かなりにわかりやすかったっすね。構造が。そもそも巻末解説を読むまで、あの小説(『狂骨』)が密教を扱っていることになんて寸とも気がつかなかったくらいだし……。そっかー、坐禅を組んで(←組んでるんです、毎晩)さとりを得ようなんて期待をするのは不遜、というか、見当はずれなんだな、みたいな影響もばっちりと受けてしまう。京極夏彦著。2001年の講談社文庫。これがシリーズ第4弾。実にいいです。というわけで、次の『絡新婦の理』も読みます。

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)