睡眠妄執

 有名らしいっすねえ。ただしぼくは今回はじめて知った次第。京極夏彦ショートスリーパーぶり(→)。ここに出てくる「4時間以上寝ちゃうと、調子が悪くなります」というフレーズには、けっこうどきっとさせられるものがありますね。確かに——自発的なものではないにせよ——睡眠時間が短いときの方が、通常の観念とは逆に、体調がいい(ように感じられる)ことがありますし。
 なんてことをつらつら思っていたら、北方謙三版『水滸伝』の最終19巻に、こんなフレーズが。

 たっぷり眠ると、なにかが鈍くなる。それは闘気などというものではなく、肌で感じるようなことが、鈍くなる。言葉では言い表しにくい、なにかが消えてしまうのだ。

 童貫元帥の述懐。というか、ぼくはここに、北方キャプテン自身の息づかいをはっきりと感じ取ったりもしているわけですが。最終巻でもあることだし。

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)

水滸伝 19 旌旗の章 (集英社文庫)

 ちなみに、鼻が通るようになってからのこちらの平均睡眠時間は、おおよそ9時間。童貫元帥が指摘しているように、なにかが鈍くなっているのかもしれません。そんな自覚も、あるようなないような。長嶋有の『夕子ちゃんの近道』にも、9時間以上の睡眠は鬱を招きやすいなんて記載があったしなあ……。いやいいんですよほんとに。気にしない気にしない。