御家芸

 古い話。そうですね、そうとう古い話。先週の続きです。どうしてドラマ『西遊記』において、三蔵法師を女優が演じるのだろうかについての続き。
 まずは、下の文章を読んでいただけるとありがたいです。

 魔法少女は必ずペットを連れ歩いている。これは『アッコ』のシッポナ(猫)、『サリー』のカブ(彼は動物ではないが)以来の伝統である。犬とか(『マリーベル』)、黒猫とか(『セーラームーン』)、桃太郎式に猿と犬と小鳥とか(『ミンキーモモ』)。こうしたペットは、家来でありボディガードでありマスコットでありお目付役である。魔法少女には取り巻きが多い。

 斎藤美奈子の『紅一点論』より。
 さらにいうと、ナウシカのキツネリスとかね。
 で、ここからぼくは次のような仮説を抱くに至ったのです。
 すなわち、「魔法少女は必ずペットを連れ歩いている」という伝統に則り、孫悟空猪八戒沙悟浄・馬のペット性を引き立たせたいが為に、ドラマでは三蔵法師役を女優が演じていたのではないだろうか? と。
 ……で、ここから、「男女の社会的役割」がどうのこうのといった真面目な論考に発展していかないのは、ひとえに、こちらの力量不足によるもので。申し訳ない。発展するとしたら、『ドラゴンボール』におけるブルマが女の子だった理由も、もしかすると、こうしたところにもあったのかもしれないなあ……という方面だったりします。
 どうなんすかね? いや、もちろんそれは、鳥山明が連載以前に発表していた短編のフォーマットを踏襲していたというのがいちばん大きいのだろうけれど。
 もし、ブルマ役に男性が当てはめられていたなら、と想像すると、うーん……クリリンの出番はもう少し遅くなっていたかもしれないなあ……。各方面への働きかけも、いまとはまるで異なったものとなっていたかもしれません。作品世界内だけにとどまらず。って、レッドリボン軍で挫折した人間にこのマンガについてなにも語る資格がないってのはじゅうじゅう承知の上で。