霊降ろし
まったくもって、田山朔美というひとに関する情報は持っていなかったのだけれど、春日武彦が読売の書評で褒めていた(→●)のを機に手に取ってみたのです。特に、春日氏が、評の最後で「読んでよかったなあと素直に思える小説」と記していたのに、びびびと反応した次第。
- 作者: 田山朔美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/04/14
- メディア: 単行本
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ところで、夏の暑さというものを、音やビジュアルに頼らずに追体験するのって、それこそ独特の喜びがありますね。いや、けっして作中で主人公は、夏の暑さをまったきよきものとしては捉えていないのだけれど。単に、自分の実際に記憶しているそれと、調和させやすいからかもしれない。そして、ぼくは、この小説を、そうした「実際に」あった夏の暑さのひとつとして、のちに思い返すこととなるのかもしれません。