文鳥

 どうにも掃除機の吸い具合がよくない。寿命か。はたまた袋が既に許容量を超えているのか。等の思いを抱きつつ、さりげなく吸い込み口を見たところ、25年前に籠を飛び出してから行方不明になっていた文鳥が、きれいにひからびた状態で挟まっていた——というのは、1年前、引っ越しをした直後にあった出来事。
 そうなんですね。25年前、籠から飛び出た文鳥は、箪笥の裏に入り込んだまま、誰に助けを請うこともできずに、「どこへ行ったんだろう」といった家族の声を尻目に、さびしく命の炎を消滅させていた、という……。引っ越しでもなければ、箪笥を移動するなんてことはありませんから。いま思い出しても、心が痛む。再度、合掌する(ここで)。
 そういえば、オタマジャクシ。小3の頃。池から大量に掬い上げて水槽に入れて飼い始めたのはいいが、それらが、順調に成長して大量のカエルになったのには——あれには参った。水槽から逃げて逃げて、どうにもひとの手では捕まえ切れない。結局これらも、室内のあちこちでひからびさせる仕儀となり……。
 ああ、申し訳ない。もう止めます。つい、記憶が蘇ってしまい。