舞城王太郎「矢を止める五羽の梔鳥」

 これには、まったくもってお手上げ。おもしろがりかたが、わからなかった。題名、そして出だしの文にはかなりの「惚れ要素」が詰まってるのに。昨年「阿修羅ガール」に手を出し、へぇーと感心し、続けて「熊」「密室」、それから雑誌に掲載されてた「トトロ」を読んで、「ほぉー、同時代にこういう人がいるんだ」との事実に気をよくしていたのだけれど、蜜月はそこまで。「九十九十九」で徹底的に挫折。あの時の苦い感情に今回また触れ得たような。要するに、ここでも“客”じゃないんだよね。しくしく。